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深夜0時。勉強をしている私の横で携帯のバイブ音が鳴った。 誰からだ……? ディスプレイを見ると、「美紗樹」の文字。見ると、物凄く沢山のデコレー ションが画面に映された。 「……『HAPPY BIRTH DAY』?」 ふと、日付を確認してみる。――4月18日。どうやら、私の誕生日だった ようだ。こういったのって本人は気付かないものだ。 私は気分的にメールを使わずに電話をしてみることにした。 「もしもし、」 『この電話番号は、現在使われておりませ……』 「切っていいかしら?」 『うわぁぁぁぁぁ! やめてやめてやめて!!!』 かけたのは私だけど、この仕打ちはおかしい。 『で、どうしたの?』 「なんとなく、電話がしたくなった」 『あらあらー? あたしの愛のこもったメールに反応したんだねー。あかりん は。全く、可愛い奴だなぁ』 「……」 本日二度目の切りたい衝動。次、変なことを言ってきたら切ることにしよう。 「何はともあれ、ありがとう」 『いえいえー。あたしが1番最初だった?』 「ええ。いいことなのか悪いことなのか」 『ええええ! いいことに決まってるでしょ! い・い・こ・と!!』 「……ありがとう」 私は改めてお礼を言う。 美紗樹は毎年誕生日になると真っ先にお祝いの言葉をくれる。小学校の時は 私の家の前で仁王立ちしながら待っていた。中学2年の時から私が携帯を買っ てもらって以来はメールで送ってくるようになった。毎年くれるから正直な話、 嬉しい。 『まぁ、何はともあれ一旦切るねー』 「何で」 『それはお・た・の・し・み。ということで、失礼しましたー』 いつも通りの軽いノリで切られてしまった。 ……一体何の陰謀だろうか。 と思っていたら、メールが来た。開くと見知らぬアドレス。ただ、迷惑メー ルとは違う類なのは見て分かった。 内容は「無題」。メール内容は一言こう書いてあった。 誕生日、おめでとう。 ……誰? 本当に、これ、誰が送ってきたのかしら? 見知らぬよく分から ない人だったら蹴っ飛ばしてやりたい。 すると、再び電話がきた。 「もしもし」 『あかりん、届いたー?』 一発目にこんなことを言われ、私は少しだけ目を見開く。 「何が」 『メールが、に決まってるでしょー。ということで、そのメールを差し上げた お相手さんからの電話をお待ちくださーい』 私が何かを言う前に美紗樹は切ってしまった。……明日学校に行った時に絶 対殴ってやる。 しばらく携帯をいじっていると、お祝いのメールが何通か来た。それはどれ も中学時代の友人だったりクラスメイトだったりして、知らない人はさっき来 たメールだけだった。本当に誰だ? と思ったら電話がかかってきた。ディスプレイには見知らぬ名前。とりあえ ず電話に出てみる。変な電話だったら即切ればいいだけの話だ。 「……もしもし」 『…………日向、サン?』 聞きなれた声。私はしばらく考え込み、声の正体に思い当たった。――一ノ 瀬くんだ。 「え、一ノ瀬くん?」 『あ、うん。一ノ瀬です。どうもこんばんは。夜遅くにすいません』 電話だからかいつもより他人行儀な雰囲気がする。 「あのさ、さっきのメールって」 『それ、俺が打った』 「何で私のアドレス知ってたの」 『みさとメールでやりとりしてたら教えてくれた』 「ふぅん」 『……それと、ありがとう』 「何が」 私は突然お礼を言われ、首を傾げる。むしろお礼を言うのは私の方だ。誕生 日を祝ってもらったのだから。 『この前、女子に絡まれた時、助けてくれただろ? あれの礼、ちゃんと言っ てないなと思って』 「別にいい。私が言いたかっただけだから」 あの時は本当に反射で言葉が出たのだ。人に対して偏見を持つような女に一 ノ瀬くんのことをバカにしてほしくなかった。 ……って何だろう。これじゃまるで、恋する乙女みたいだ。 『でも、礼は言いたいから。ありがとう。後、おめでと』 一ノ瀬くんの明るい声が耳の中にすっと入ってくる。 「……ありがとう」 私はこれ以上話しているのが恥ずかしくなったので、電話を素早く切った。 それからすぐに美紗樹から電話がかかってきた。 『さぁ、どうだったかなぁ、あかりん?』 「……うるさい」 私は一言そう言って切った。そして、携帯を放り出し、ベッドに寝転がる。 ……明日からどう、顔あわせればいいのだろう。あの人と。 突然の、 (こんなことされたら意識しそうだ) (明日なんてこなくていい) |