|
※万菜美視点 「えっ、ちょ……やだぁ」 「嫌じゃないだろ。こっち向け」 「やなものはや……」 「んなこと言うな。ほら……」 「あっ……やっ……」 ――っていう会話が水泳部の部室(と言っても一般教室だけど) から聞こえる。 一緒にいた紫苑とあたしは固まった。 「……紫苑」 「櫟」 ――これは、嫌な予感しかしない! そう思ったあたし達は教室に入りながら大きな声を出した。 「おっこ!」 「おいこら手前ら!」 すると、そうちゃんと、そうちゃんから顔をそむけているおっこ の姿が見えた。おっこは完全にそうちゃんを拒絶しているように見 える。 というより……二人とも、服、着てる? え? なんていうか… …その……アレなことでもしてたんじゃないんですか!? 「あのー。二人は一体何を……」 「消毒、してもらってた……」 おっこは自分の今までの行動を思い出してか下を向いている。そ うちゃんはニヤニヤ笑いながらそれを見ている。 「お前、しみるやつ嫌だもんなー」 「あれは本当にしみるんだってば! 颯太くんもやってみなよ」 「あいにく、怪我してないから」 「……というか、あっくんとまなみんは何で慌てて入ってきたの?」 急用でもあったの、と聞いてくるおっこにあたし達は何も言えな い。あたしはバレないようにそっと溜息をついた。 思春期の思考回路 (……小此木さん、傷は?) (颯太くんに何とかしてもらったよ。で、あっくんとまなみんがおかしいんだけど……) (気にしない方がいいと思うよ) |