「暑い…………暑いよひーくん。何とかしてよ」
「何とかできたら苦労してません」
「つーかまず引っ付くのやめりゃいいだろ」
 うん、それはすごく思う。何でこんな状況になってるんだろうなぁ、
ってあたしも思ったもん。
「博也先輩、もう五分経ちましたよ。ほら、交代です、交代」
「だが断る」
「ドヤ顔で言うな手前は。さっさと代われ」
「ぎゃんっ」
「って言いながら何で紫苑が前行くのさー!!!」
「紫苑先輩ひどい!」
「うちだって風浴びたいですー!!!!」
 ……何で皆、こう扇風機の前で権力争いしてるんだろう。
 これも夏の風物詩なのかな、と思いながらあたしは団扇で自分を
扇ぐことにした。



夏の風物詩

(あ、おっこいいもの持ってる!)
(よし、貸せ)
(やだよ……。皆が扇風機の前にたむろするから持ってきたのに)





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